Web Syllabus(講義概要)
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計算論的神経科学
英文名Computational Neuroscience
科目概要未来工学研究科(修士課程)生命データサイエンス専攻修士1年後期、専門科目、選択、講義、2単位
科目責任者 岡 浩太郎
担当者(※は実務経験のある教員) 岡 浩太郎
講義室

授業の目的

神経細胞と神経回路はディープラーニングなどの人工知能のメカニズムを理解し、新しい人工知能によるデータ処理系を考える際のヒントを与える。この講義では神経細胞とそれが構築する神経回路についての生物学的な知見を述べるとともに、計算論的神経科学の立場から、神経系の演算を情報科学の立場から詳述し、また計算による熱産生などの話題についても理解を深める。

教育内容

物理化学的な観点から神経細胞と神経回路の演算について理解することを目指すとともに、人工神経回路でも重要な神経可塑性について丁寧に理解する。

教育方法

パワーポイントを用いて毎回講義形式ですすめる。また、適宜レポートを課すことにより理解を深める。
講義内で出された課題について、講義中に解説を行う。質問には授業中やその前後、メール等で随時対応し、重要だと思われるものについては講義内で共有し、解説する。

卒業・学位授与の方針と当該科目の関連

DP1、DP2

授業内容(シラバス)

項目内容担当者日時
1神経細胞の構築と階層性神経細胞の構造とその機能について理解する。岡 浩太郎
9/10④
2膜電位の物理化学神経細胞に膜電位が形成されるメカニズムをイオンチャネルの物理化学の観点から理解する。岡 浩太郎
9/17④
3興奮電位の生成電位依存的なイオンチャネルにより興奮電位が生成される機構を理解する。岡 浩太郎
9/24④
4単一神経細胞での電位伝搬複雑な形態を持つ神経細胞で電位が伝搬するメカニズムをケーブル方程式により理解する。岡 浩太郎
10/1④
5興奮電位の数理モデルホジキンハックスレーの式により興奮電位の生成がどのように定量することが可能になったかを示すとともに、この式を簡略化したいくつかのモデルについて理解する。岡 浩太郎
10/8④
6神経細胞のシグナル伝達神経可塑性などの神経機能の改変を担う細胞内シグナル伝達について理解する。岡 浩太郎
10/15④
7シナプスでのシグナル伝達シナプスでの情報伝達メカニズムを歴史的な観点から説明し、統計学的な解析により量子放出が解明されたことなどを理解する。岡 浩太郎
10/22④
8シナプスの可塑性シナプスでの情報伝達が前後の神経細胞の活動から変容するのかを理解する。岡 浩太郎
10/29④
9シナプス可塑性による学習・記憶
シナプス可塑性が神経回路の可塑性にどのように関与しているのかを人工神経回路の学習則と比較して理解する。岡 浩太郎
11/12④
10無脊椎動物での学習と記憶無脊椎動物神経系を利用して実際に記憶や学習の研究がどのように行われてきたか研究論文を通じて理解する。岡 浩太郎
11/19④
11確率過程と神経機能ポアソン過程を利用して神経細胞や神経回路の機能をシミュレートする方法について理解する。岡 浩太郎
11/26④
12神経細胞の情報理論シャノンの情報理論について説明し、この理論を実際の神経細胞に適用する方法について理解する。岡 浩太郎
12/3④
13神経細胞での熱産生神経細胞は演算を行うことで熱を発生するという点ではPCと同様である。神経細胞での熱産生と温度変化が神経細胞演算に与える影響について理解する。岡 浩太郎
12/10④
14神経細胞のモデリング神経細胞の様々な演算を数理モデルとして扱い、実験と対応づけるためのシステム生物学的手法について理解する。岡 浩太郎
12/17④
15まとめと展望以上の講義で扱った内容についてレビューするとともに、実際の細胞と人工神経回路の演算について考察する。岡 浩太郎
12/24④
No. 1
項目
神経細胞の構築と階層性
内容
神経細胞の構造とその機能について理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
9/10④
No. 2
項目
膜電位の物理化学
内容
神経細胞に膜電位が形成されるメカニズムをイオンチャネルの物理化学の観点から理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
9/17④
No. 3
項目
興奮電位の生成
内容
電位依存的なイオンチャネルにより興奮電位が生成される機構を理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
9/24④
No. 4
項目
単一神経細胞での電位伝搬
内容
複雑な形態を持つ神経細胞で電位が伝搬するメカニズムをケーブル方程式により理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
10/1④
No. 5
項目
興奮電位の数理モデル
内容
ホジキンハックスレーの式により興奮電位の生成がどのように定量することが可能になったかを示すとともに、この式を簡略化したいくつかのモデルについて理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
10/8④
No. 6
項目
神経細胞のシグナル伝達
内容
神経可塑性などの神経機能の改変を担う細胞内シグナル伝達について理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
10/15④
No. 7
項目
シナプスでのシグナル伝達
内容
シナプスでの情報伝達メカニズムを歴史的な観点から説明し、統計学的な解析により量子放出が解明されたことなどを理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
10/22④
No. 8
項目
シナプスの可塑性
内容
シナプスでの情報伝達が前後の神経細胞の活動から変容するのかを理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
10/29④
No. 9
項目
シナプス可塑性による学習・記憶
内容
シナプス可塑性が神経回路の可塑性にどのように関与しているのかを人工神経回路の学習則と比較して理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
11/12④
No. 10
項目
無脊椎動物での学習と記憶
内容
無脊椎動物神経系を利用して実際に記憶や学習の研究がどのように行われてきたか研究論文を通じて理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
11/19④
No. 11
項目
確率過程と神経機能
内容
ポアソン過程を利用して神経細胞や神経回路の機能をシミュレートする方法について理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
11/26④
No. 12
項目
神経細胞の情報理論
内容
シャノンの情報理論について説明し、この理論を実際の神経細胞に適用する方法について理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
12/3④
No. 13
項目
神経細胞での熱産生
内容
神経細胞は演算を行うことで熱を発生するという点ではPCと同様である。神経細胞での熱産生と温度変化が神経細胞演算に与える影響について理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
12/10④
No. 14
項目
神経細胞のモデリング
内容
神経細胞の様々な演算を数理モデルとして扱い、実験と対応づけるためのシステム生物学的手法について理解する。
担当者
岡 浩太郎
日時
12/17④
No. 15
項目
まとめと展望
内容
以上の講義で扱った内容についてレビューするとともに、実際の細胞と人工神経回路の演算について考察する。
担当者
岡 浩太郎
日時
12/24④

到達目標

神経細胞と神経回路での生物学的な事実から実際に人工神経回路へ利用可能なメカニズムについて理解を深め、自ら新しい学習則や演算を考案できるようになる。

評価方法

8回目終了時に講義内容の確認のための中間レポート(40%)、最終講義後に講義内容全般に関わるレポート(60%)を課し、総合的に判断する。

準備学習(予習・復習等)

【講義時間外に必要な学習の時間:60 時間】
予習:事前に配布するハンドアウトを利用して次回の講義の概要を調べておく。
復習:講義で取り扱った内容を理解し、講義中に指定された文献などを調査する。

備考・その他

【関連科目:細胞の物理化学特論】

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書配布資料あり
参考書ニューロンの生物物理宮川博義、井上雅司丸善
参考書Theoretical Neuroscience: Computational and Mathematical Modeling of Neural SystemsPeter Dayan, L. F. Abbott MIT Press
教科書
署名
配布資料あり
著者・編者
発行所
参考書
署名
ニューロンの生物物理
著者・編者
宮川博義、井上雅司
発行所
丸善
参考書
署名
Theoretical Neuroscience: Computational and Mathematical Modeling of Neural Systems
著者・編者
Peter Dayan, L. F. Abbott
発行所
MIT Press