英文名 | Chemoinformatics | |
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科目概要 | データサイエンス学科3年後期、3群科目、選択、講義、2単位 | |
科目責任者 | 石井 良樹 | |
担当者 | (※は実務経験のある教員) 石井 良樹、 渡辺 豪、 齋藤 裕※ | |
講義室 |
生命科学系の現象を数理科学的に理解するためのインフォマティクスの手法と、その背景に存在する分子科学の概念について学習する。分子構造を情報として捉える表現方法とその記述子や、分子の量子化学計算、分子の性質のデータベースまで、情報・科学・工学分野の多角的視点から分子表現を身に付けることで、生命科学の中に潜む分子のふるまいを予測するケモインフォマティクス技術へと応用することを目的とする。
分子構造を表現するSMILES、InChI記法とMOLオブジェクトについて学習し,分子構造の記述子となるパラメータとその意味について、物理化学の知識と結びつけて説明する。それらの表現記法を基にして、各種記述子をPythonで解析する技術を学び、量子計算などの計算科学や機械学習などの情報学的アプローチと組み合わせたケモインフォマティクスの解析を実践する。
板書とパワーポイント・配布資料を用いて講義を進める。また授業内で各自のPCを用いたインフォマティクス演習を行い、知識と考え方の定着を図る。
小テストやレポート課題については、次の講義で解説・講評を実施する。授業に関する質問はメール・対面にて受け付けるとともに、重要な事項については受講者全員で共有する。
DP4、DP5
回 | 項目 | 内容 | 担当者 | 日時 |
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1 | ケモインフォマティクスと 分子科学 | ケモインフォマティクスのための量子化学の基礎を学習する。 | 石井 良樹 | 9/11④ |
2 | 分子力場と統計力学1 | 生命科学系の原子集団に働く相互作用を学ぶ。 | 石井 良樹 | 9/18④ |
3 | 分子力場と統計力学2 | 静電相互作用とvan der Waals相互作用を理解する。 分子構造と熱力学量の関係を学ぶ。 | 石井 良樹 | 9/25④ |
4 | 分子構造の表現方法1 | 分子構造のSMILES, InChI記法とMOLオブジェクトの仕組みを理解する。 | 石井 良樹 | 10/2④ |
5 | 分子構造の表現方法2 | 分子構造のグラフ理論と記述子を理解する。 | 石井 良樹 | 10/9④ |
6 | ケモインフォマティクス 入門1 | RDKitのためのPython環境を構築し、SMILES、InChI記法を使って分子を設計する。 | 石井 良樹 渡辺 豪 齋藤 裕 | 10/16④ |
7 | ケモインフォマティクス 入門2 | RDKitを用いて分子の記述子解析を行う。 | 石井 良樹 渡辺 豪 齋藤 裕 | 10/23④ |
8 | ケモインフォマティクス 入門3 | 量子化学ソフトウェアによる分子構造解析を行う。 | 石井 良樹 渡辺 豪 齋藤 裕 | 10/30④ |
9 | データベースを活用した ケモインフォマティクス1 | 材料系データベースを使ってPythonによる ケモインフォマティクス演習を行う(有機化合物編)。 | 石井 良樹 渡辺 豪 齋藤 裕 | 11/6④ |
10 | データベース活用した ケモインフォマティクス2 | 材料系データベースを使ってPythonによる ケモインフォマティクス演習を行う(無機化合物編)。 | 石井 良樹 渡辺 豪 齋藤 裕 | 11/13④ |
11 | ケモインフォマティクスにおける機械学習1 | 化合物の記述子を特徴量とする機械学習を学ぶ。また、機械学習のもつ重要な能力であるデータからの特徴量の学習(表現学習)について、シンプルなフィンガープリントとニューラルネットワークの例から学ぶ。 | 齋藤 裕 | 11/20④ |
12 | ケモインフォマティクスにおける機械学習2 | 表現学習に関する理解を深めるために、典型的なフィンガープリントであるECFPと、その表現学習をもちいた拡張であるニューラルグラフフィンガープリントについて学ぶ。 | 齋藤 裕 | 11/27④ |
13 | ケモインフォマティクスにおける機械学習3 | 化合物を扱うための深層学習手法として、SMILESなどの線形表記法に対する再帰型ニューラルネットワークや、化学構造に対するグラフニューラルネットワークについて学ぶ。 | 齋藤 裕 石井 良樹 渡辺 豪 | 12/4④ |
14 | ケモインフォマティクスにおける機械学習4 | 低分子化合物のドラッグデザインを題材として演習を行う。 | 齋藤 裕 石井 良樹 渡辺 豪 | 12/11④ |
15 | まとめ | 全体の確認と復習を行う。 | 石井 良樹 渡辺 豪 齋藤 裕 | 12/12④ |
分子を表現する表現記法とオブジェクトファイルを理解して構築できるようになること、その分子構造データを基にしてPythonでケモインフォマティクス解析を活用でき、分子を表現するパラメータを物理化学的に説明できるようになることを目指す。さらに量子化学計算による解析やデータベースの活用、機械学習を実践することで、様々な分子種に対するケモインフォマティクスの技術と考え方を習得することを到達目標とする。
授業にて実施する課題の消化状況(30%)と小テスト(30%)、レポート課題(40%)の成績から総合的に評価する。
【講義時間外に必要な学修時間:60時間】
予習:授業にて配布するプリントテキストを読み、疑問点を明確にしておくこと。また関連科目で学習した知識・プログラミング手法を確認しておくこと。
復習:授業で学ぶ分子表現とケモインフォマティクスの実践方法について復習と反復練習を実施しつつ、レポート課題にも取り組むことで、授業内容の理解を深めておくこと。
【科目ナンバリング:FU301-FM03】
【関連科目:プログラミングⅠ・Ⅱ・Ⅲ、物質科学、統計の物理学、シミュレーションの基礎】
(齋藤)国立研究所でのケモインフォマティクスの研究経験をもとに、ケモインフォマティクス分野の機械学習手法について講義する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | プリントテキストを配布する | ||
参考書 | 実践マテリアルズインフォマティクスPythonによる材料設計のための機械学習 | 船津 公人(著) 柴山 翔二郎(著) | 近代科学社 |